DIYer in ドイツ: キッチンの基礎知識

2008/08/02

キッチンの基礎知識

 日本のシステムキッチンもある程度は規格が決まっていますが、ディティールはメーカーによって違ったり、天板とシンクは工場で一体化して作っていたりするので、全てを現場で組み立てて作るドイツのキッチンとは構造が多少異なります。
 ドイツのキッチンに関する規格は統一されており、色々な棚ユニットや電化製品(オーブンや食洗機、洗濯機、冷蔵庫など)を自分の好き なように組み合わせて作ります。自分で選ぶのが面倒くさい人には、セットになったものも豊富にありますし、キッチン専門店に行って、日本と同じようにレイアウトから扉の面材や天板の種類、取っ手や水栓、コンロやオーブン、シンクなどフルオーダーメイドすることもできます。DIY で安くあげたい人は、ホームセンターなどで材料を買って組み立てることもできますし、家具屋やホームセンターでセットになっているものを安く購入し、組み立てを自分でやるという方法もあります。何しろドイツは人件費が高いので、職人を呼ぶと何事でも高くつきます。2000€のキッチンセットを買って、職人を呼ぶとさらに2000€という噂も聞きます。

 毎週キッチンのチラシがどさっと入るのですが、家具屋、ホームセンター、キッチン専門店など、この小さな町で競合しないのかと心配になるほど、至るところでキッチンセットが売られています。ちなみに造りつけのシステムキッチンは、Einbauküche と言います。

 (写真:前の住人から買い取った中古のキッチンセット。前面にはオーブンと食洗機、背面は冷蔵庫と収納と至って普通。)


■キッチンの構造


 その他のキッチンに関するドイツ語;

 電子レンジ Mikrowelle
 冷蔵庫 Kühlschrank
 取っ手 Griff
 つまみ  Knopf
 引き出し Schublade
 扉 Tür

 上のイラスト(クリックで大きくなります)は、我が家のキッチンの図です。イラストを見て分かるように、組み合わせは非常に簡単・単純です。例えば、IKEA のキッチンのページを見ても分かるように、自分で欲しいものをパズルのように組み合わせていけばいいのです(日本の IKEA でも販売されているようです)。

 天板は、奥行き:600mm(稀に700。この場合でも収納スペースは奥行き600) 、幅:3000mm、厚さ:40mm と統一された規格でホームセンターで売られています。これを自分のキッチンスペースの長さにカットしてもらうのです。オーブン、食洗機、洗濯機は全て有効幅 600mm × 高さ 850mm のスペースに納まるサイズになっており、600の倍数+端数はオープン棚などで埋めるというのがレイアウトの主流のようです。収納キャビネット(幅300/450/500/600/1000×奥行き600)、オーブン+IHコンロ(幅570~580)、 食器洗浄機(幅570~580)、 洗濯機(幅570~580) が主な規格寸法です。

 我が家のキッチンは、前の住人から買い取ったものなのですが、洗濯機をどうしてもキッチンに置きたくて、一番右にあった収納箱を抜き取り(右写真)、そこに洗濯機を入れました。

 話はそれますが、ドイツの住宅では地下に共同の洗濯機置場があるアパートが多いです。うちもそうなのですが、地下の入口へは一度中庭に出てから入るので、雨の日や冬の朝は辛すぎるのでキッチンに入れることにしました。不動産巡りをしていたときは結構地下洗濯機のご家庭は多かったのですが、うちは5軒中1軒しか地下に洗濯機をおいていません。やはり、このアクセス方法が原因でしょう。


キッチンの組み立て方法

1.収納箱、オーブンの脚(底脚が必要)を組み立てて並べる。
  箱が横に並ぶ場合は、左右をビスで1-2箇所連結する。
2.箱の上端が水平になるように水準器を使ってチェックしながら、
  収納箱の脚の高さを調節する。
3.オーブン、食洗機、洗濯機を設置する。
  コードや給排水ホースをコンセントや排水位置まで引っ張っておく。
4.天板を載せて、収納キャビネットとビスで留める。
5.コンロ、シンクを設置する。
6.水栓を設置し、給排水を接続する。
7.水返し(バックガード)をつける。
8.幅木をつけて、完成。


 単純に箱を並べて、天板を置いて、所々ビス留めしてあるだけなので、収納箱を外すのも反対の手順で、簡単に外せました(地震がないので、床や壁に固定されてはいません)。
 まず幅木を外して(箱の脚にワンタッチで取り付けてあります。箱の下から外します)、箱内側の側面2箇所、上面2箇所のビスを外して(日本みたいに化粧用のビスキャップやシールなんてありません)、引き抜くだけです。右端の箱を抜いたので、念のためにL字金物で2箇所、壁に天板を固定させました。この空いたスペースに洗濯機を入れました。
 そして抜いた収納箱は、背面の空きスペースに置き、反対側に木材で作った脚(壁と同じペンキで塗装)をつけ、天板を載せて作業台を拡張しました。あいにく既存の天板と同じ柄の天板素材が見つからず、似たような柄のもので代用したので、色の違いが気になります。


 ホームセンターの天板コーナーには同柄の水返し(バックガード)が売っています。このバックガードが天板より高いのが不思議です。天板が安いだけかもしれませんが。ちなみに天板は集成木材にプリントラミネート加工してあります。シンクやコンロの大きさ・位置などを図面を添えて出せばホームセンターで加工してもらえます。

 このように、箱を一つだけ動かしたり、天板だけをリフォームしたりということがドイツのキッチンでは比較的簡単にできます。少しずつ部分更新できるのは、DIYer にはとても魅力的です。次回は、洗濯機を設置したときの排水について少し触れる予定です。


 (右上写真は、木材加工コーナー脇のバックガード売場。この縁材もカットコーナーで切ってもらえます。のこぎりで切れますが、Praktiker、Thomasは無料でカットしてもらえました。)



【訂正】2008.9.28.

 イラスト内で「IHコンロ」とあるのは、「ハロゲンヒーター」の間違いです。
IHコンロは、磁力線で発熱しているのに対し、ハロゲンヒーターは耐熱ガラスの下にハロゲンヒーターが発熱体として入っています。時々、エンクロヒーターもみかけます。

 参考URL: All About「間違えやすい電気加熱調理器」

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